
先日2020年5月25日、アメリカ・ミネソタ州ミネアポリスのお店でタバコを買おうとした黒人男性のジョージフロイドさんが、偽造の20ドル札を使ったとして、白人警官4人に拘束されました。
無抵抗で警官の指示に従ったが、地面にうつ伏せにされ、4人のうち1人の警察官に膝で首を押さえつけられました。
「息ができません、オフィサー!!」
フロイドさんはそう何度も訴えたが拘束は解かれず、やがて動かなくなった。直後に死亡が確認されました。

この事件を受けてミネアポリスからアメリカをはじめ、世界中で抗議デモが広がっていきました。
ニューヨークでも、マンハッタンやブルックリンなど各地で抗議デモが行われ、特に5月30から31日の週末の夜のデモは一部、暴走化しました。

ニューヨークに来たら一度は訪れたことのあるSOHOでは、シャネル、ルイ・ヴィトン、グッチなどの店舗が襲撃され、商品などが強奪され、

その他にもパトカーに火を付けられたり、警官が火薬瓶を投げつけたりする場面も見られました。
ニューヨーク市ではこれを受け、6月1日午後11時から2日午前5時まで市民の外出を禁ずる、外出禁止令が出された。

過激な抗議デモの様子が世界中で報道されていますが、決してそれが全てではありません。むしろ昼間の抗議デモは、米国社会の課題をより忠実に表していました。
昼間の抗議デモは、あくまでフロイドさんの死を悼み、抗議している。
そしてフロイドさんを拘束した警官について、「4人のうち1人は逮捕されたが、なぜ残りの3人は逮捕されないのか」と、抗議していた。

デモが行われる中で ”Black Lives Matter” というスローガンを掲げている人を見ることがあると思いますが、もう一つ ”All Lives Matter” というものがあります。
実はこの ”All Lives Matter” というスローガンは一見、素晴らしいスローガンに聞こえるかもしれませんが、何も知らずに使うと誤解を招いてしまう可能性があります。
なぜ ”Black Lives Matter” は良くて ”All Lives Matter” はダメなのか。
まず ”Black Lives Matter” とは、黒人の人権運動のスローガンとして使われています。
特に今回の事件のような、黒人が白人警察官に殺されてしまう事件に抗議するために生まれた言葉です。
そして、 ”All Lives Matter” とは、主にそれに対抗するために白人によって作られたスローガンです。
”黒人だけではなく全ての命が重要だ” という意味ですが、ここまで読んでなぜ ”All Lives Matter” を使ってはいけないかわかりますか?
日本で日本人に囲まれながら、同じ日本人として生活していると、人種差別を目にすることも、人種差別を体験することもあまりないと思います。
私も海外に来て初めて、人種差別を目の当たりにしました。そして、私も少なからずアジア人差別をされてきました。
しかし、私たち日本人には今の状況だけでは説明は不可能、ここまでに至った歴史をたどる必要があります。
黒人は何十年、何百年とずっと社会的立場が弱いのを皆さんご存知ですか?
”White Privilege” という白人だけ優遇を受け、黒人だけ不平等な対応は世界各自で、特にアメリカでは日常茶飯事に起こっていること。
”Black Lives Matter” は、「黒人が大事」ではなく、「黒人も大事」というメッセージ。

そして、この抗議活動をしている人たちは黒人だけでなくヒスパニック、白人、アジア人、多種多様です。
まず自分の中での偏見や差別に気付き、改善するところから始めていくことで少なからずリスペクトにつながるのではないでしょうか。
人種差別が無くなりみんなが平等に暮らせるよう、一日でも早く安全な生活が戻ることを祈るばかりです。
PEACE FOR ALL!!!